キスするくせに、彼氏じゃない。
瀬川くんは前を向いたままだった。

 

「話しやすいと思う」

 

続けると、彼の視線が一度こちらへ動いた。

 

「……そうなんだ」

 

声は、いつもと変わらなかった。

 

でも、そのあと少しだけ会話が途切れた。

 

私は道の端に咲いている小さな花を見る。

黄色い花だった。

花壇の札と違って、こちらには名前がない。
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