キスするくせに、彼氏じゃない。
向こう側を走るバスを見ていると、隣から声がした。

 

「聞いていいよ」

 

私は顔を向けた。

 

彼は信号を見ていた。

 

「本読んでても、嫌だったら言うから」

 

言葉の意味が、ゆっくり胸に落ちてくる。

 

話しかけてもいい。

先に、迷わなくていい。
< 162 / 756 >

この作品をシェア

pagetop