キスするくせに、彼氏じゃない。
私はその隣へ行こうとして、床に置かれた低い箱を見落とした。

 

靴の先が引っかかる。

 

「あ——」

 

身体が前へ傾いた。

抱えていた鞄が、腕から滑る。

 

瀬川くんが振り向いた。

 

手が伸びてくる。

私は反射的に、その腕をつかんだ。

 

引き戻される。
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