キスするくせに、彼氏じゃない。
「持ててるけど」

 

隣から声がした。

 

「……何」

「顔、険しい」

 

私は箱を抱え直した。

 

「元から」

 

彼が口元を手で覆った。

 

今度は、はっきりわかった。

 

「笑わないで」

「悪い」

 

声が全然悪いと思っていない。

 

悔しくなって歩こうとすると、箱の下へ手が入った。

 

「こっち持つ」
< 42 / 756 >

この作品をシェア

pagetop