キスするくせに、彼氏じゃない。
資料室の扉は、思ったより重かった。

律が片手で押さえ、私を先に入れる。

棚の前まで箱を運び、二人で床へ下ろした。

 

腕が軽くなる。

私は指を開いたり閉じたりした。

 

「痛い?」

 

律が私の手を見る。

 

「少し跡がついただけ」

 

手のひらには、箱の角に沿った赤い線が残っていた。

私がそれをさすっていると、彼が少しかがんだ。

 

一瞬、距離が近くなる。

 

私は思わず手を止めた。

 

律は赤い跡を見て、それから私の顔へ視線を上げた。
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