キスするくせに、彼氏じゃない。
「次は最初から半分で」

 

何でもない声だった。

 

なのに、顔が熱くなる。

 

「……次があればね」

「先生、また頼みそうだけど」

 

それは、そうだった。

 

私は窓のほうを向いた。

資料室の窓からは、中庭が見える。

風に揺れる花壇の札が、一つだけ斜めになっていた。

 

「何見てるの」

 

律の声に、窓の下を指さした。

 

「春の花壇なのに、あれだけ去年の秋の札」

「どれ」

「右。『サツマイモ』って」
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