初恋、のちパパになる―憧れのあなたは母になっていた―
玲と遙花が入籍してから、五か月後。
家庭裁判所から、通知が届いた。
「……!」
玲は急いで内容を確認する。
そこには、特別養子縁組の成立を認める審判がなされたことが記されていた。
「や、やった……」
「どうしたの? 玲君」
「遙花さん、これ……」
玲は、震える手で書類を差し出した。
「え……?」
「認められたんだ。僕と蒼生君の、特別養子縁組……!」
「本当!?」
「うん。ただ、まだ確定したわけじゃない。これから不服申立ての期間があるから……」
玲は、書類を握りしめた。
「でも、ここまで来た……」
「玲君……」
「長かった……本当に、長かった……」
玲の瞳が、みるみる潤んでいく。
「あと少しで……蒼生君の、法律上の父親になれる……」
そのとき。
「あ……」
玲は、ふと顔を上げた。
「どうしたの?」
「確定する見込みの日……十二月十日だって」
「十二月十日……?」
「僕の……誕生日……」
「えっ!」
「僕の、二十六歳の誕生日……!」
玲の声が震えた。
「こんな……こんなことって、あるんだ……」
涙が一筋、頬を伝う。
「まだ、確定したわけじゃないけど……」
「うん」
「でも……もし、このまま確定したら……」
玲は、とうとう顔を覆った。
「最高の誕生日プレゼントになるよ……」
「玲君……」
遙花は、そんな玲の肩をそっと抱いた。
「じゃあ、今度の誕生日は盛大にお祝いしなくちゃね」
「え……?」
「二十六歳のお誕生日と、蒼生のパパになった記念日」
「は、遙花さん……」
「ありがとう。蒼生のパパになろうとしてくれて」
「……っ」
もう、駄目だった。
玲は遙花の腕の中で、声を上げて泣き始めた。
「まだ……まだ確定してないのに……」
「うん」
「嬉しくて……どうしよう……」
「いいじゃない。今日くらい、いっぱい泣いても」
そのとき。
「パパ?」
「あ……蒼生君……」
蒼生が、不思議そうに玲を見上げていた。
「パパ、おなかいたいの?」
「ううん、違うんだ」
「おねつ?」
「……ある意味、そうかもしれない」
「?」
「パパね、蒼生君のことが大好きすぎて……泣いてるの」
「……?」
蒼生は、少し考えたあと。
「じゃあ、ぼくもなく」
「えっ!? 蒼生君は泣かなくていいよ!」
「だって、ぼくもパパすき」
「……!」
「パパ、だいじだいじだよ」
「ああああ……!」
玲の涙腺が、完全に崩壊した。
「ちょっと、玲君……!」
「無理~~!」
蒼生は、そんな玲の首にぎゅっと抱きついた。
「パパ、だいすき!」
「僕も……僕も大好きだよ、蒼生君……!」
十二月十日。
それは、玲が二十六歳になる日。
そして、何事もなく審判が確定すれば、もう一つの記念日になる。
けれど、蒼生にとっては。
今日も、明日も、十二月十日を迎えても。
玲は、ずっと大好きなパパだった。
*
家庭裁判所から、通知が届いた。
「……!」
玲は急いで内容を確認する。
そこには、特別養子縁組の成立を認める審判がなされたことが記されていた。
「や、やった……」
「どうしたの? 玲君」
「遙花さん、これ……」
玲は、震える手で書類を差し出した。
「え……?」
「認められたんだ。僕と蒼生君の、特別養子縁組……!」
「本当!?」
「うん。ただ、まだ確定したわけじゃない。これから不服申立ての期間があるから……」
玲は、書類を握りしめた。
「でも、ここまで来た……」
「玲君……」
「長かった……本当に、長かった……」
玲の瞳が、みるみる潤んでいく。
「あと少しで……蒼生君の、法律上の父親になれる……」
そのとき。
「あ……」
玲は、ふと顔を上げた。
「どうしたの?」
「確定する見込みの日……十二月十日だって」
「十二月十日……?」
「僕の……誕生日……」
「えっ!」
「僕の、二十六歳の誕生日……!」
玲の声が震えた。
「こんな……こんなことって、あるんだ……」
涙が一筋、頬を伝う。
「まだ、確定したわけじゃないけど……」
「うん」
「でも……もし、このまま確定したら……」
玲は、とうとう顔を覆った。
「最高の誕生日プレゼントになるよ……」
「玲君……」
遙花は、そんな玲の肩をそっと抱いた。
「じゃあ、今度の誕生日は盛大にお祝いしなくちゃね」
「え……?」
「二十六歳のお誕生日と、蒼生のパパになった記念日」
「は、遙花さん……」
「ありがとう。蒼生のパパになろうとしてくれて」
「……っ」
もう、駄目だった。
玲は遙花の腕の中で、声を上げて泣き始めた。
「まだ……まだ確定してないのに……」
「うん」
「嬉しくて……どうしよう……」
「いいじゃない。今日くらい、いっぱい泣いても」
そのとき。
「パパ?」
「あ……蒼生君……」
蒼生が、不思議そうに玲を見上げていた。
「パパ、おなかいたいの?」
「ううん、違うんだ」
「おねつ?」
「……ある意味、そうかもしれない」
「?」
「パパね、蒼生君のことが大好きすぎて……泣いてるの」
「……?」
蒼生は、少し考えたあと。
「じゃあ、ぼくもなく」
「えっ!? 蒼生君は泣かなくていいよ!」
「だって、ぼくもパパすき」
「……!」
「パパ、だいじだいじだよ」
「ああああ……!」
玲の涙腺が、完全に崩壊した。
「ちょっと、玲君……!」
「無理~~!」
蒼生は、そんな玲の首にぎゅっと抱きついた。
「パパ、だいすき!」
「僕も……僕も大好きだよ、蒼生君……!」
十二月十日。
それは、玲が二十六歳になる日。
そして、何事もなく審判が確定すれば、もう一つの記念日になる。
けれど、蒼生にとっては。
今日も、明日も、十二月十日を迎えても。
玲は、ずっと大好きなパパだった。
*