初恋、のちパパになる―憧れのあなたは母になっていた―
10. 願い、のち家族
扉が開いた。
その先から、華やかな歌声とヴァイオリン、ハープの音色が流れ込んでくる。
遙花は、その祝福の音色に包まれながら、母と向き合った。
そして、ベールダウンの儀。
「遙花……」
「お母さん……」
「今度こそ、幸せになるのよ」
遙花の母は、震える手でそっとベールを下ろした。
「うん……っ」
堪えきれず溢れ出した思いと共に、遙花は玲の元へと続く道を、一歩一歩踏みしめるように歩く。
その隣には、涙顔の父。
やがて、二人は玲のもとへたどり着いた。
遙花の父が、玲と向き合う。
「来てくださったんですね」
「当たり前だ」
「即決出来なかったのに?」
「なかなか口達者だな」
「職業病です」
「性格だろう」
「言いますね」
「言われっぱなしなのは悔しいからな」
「ちょっと、二人ともやめてよ」
遙花の制止に、周囲から笑い声が漏れた。
「……娘を、頼む」
「はい」
そして、誓いの時。
「それでは、主役が揃ったところで……ジェームズ!」
「はあ~い」
ジェームズが牧師風の衣装をまとい、六法全書を広げながら促す。
「アンタたち。これからは夫婦として、蒼生君の親として、幸せいっぱいな家庭を築いていくことを……さあ、みんなの前で誓いなさ~い!」
「おのれ、ジェームズ……!」
「エディさん。今は、抑えて」
若葉が、今にも殴り込みに行きそうな勢いで席を立ちかけたエディの腕を慌ててつかんだ。
「言われなくても誓います」と玲。
「今も充分幸せだけど……もっと、幸せになることを誓います」と遙花。
「幸せいっぱいの二人に拍手よ~!」
再び祝福の嵐。
そして。
「それでは、ここでかわいらしいリングボーイの登場! 蒼生君、いらっしゃ~い!」