新宿駅に掲示板
『ありがとう。そうね、もう少しだけ、頑張ってみる』
二人の文字が、黒板の片隅で初めてしっかりと繋がった、冬の夜のことだった。
それから幾度も、二人の詩は黒板の片隅で繋がっていった。
朝の通勤時には綺麗に消されてしまう伝言板を横目で確認し、夜の帰宅時にはまた新しい文字が書き残されているのを、美幸は心から楽しみにするようになっていた。
ある夜、チョークを黒板に当てた時、美幸はふと、この詩の執筆者の存在を強く意識した。
毎日、伝言板はすべて消されてしまうはずなのに、前日の私の文字に合わせるように、優しい言葉を繋げてくれている。
――これを書いている人は、私が帰宅したあとの夜、再びこの場所へやってきて私の残した文字を読み、それに合わせるように言葉を選び、またここに書き残してくれているのだ。
(きっと、毎日ここを利用する人、すぐ近くにこの人がいる――)
そう思うと、急に胸の鼓動が速くなった。
美幸は、駅の冷たい通路を足早に行き交う見ず知らずの人々の姿を、どこか期待を込めながら、目で追ってしまうのだった。
二人の文字が、黒板の片隅で初めてしっかりと繋がった、冬の夜のことだった。
それから幾度も、二人の詩は黒板の片隅で繋がっていった。
朝の通勤時には綺麗に消されてしまう伝言板を横目で確認し、夜の帰宅時にはまた新しい文字が書き残されているのを、美幸は心から楽しみにするようになっていた。
ある夜、チョークを黒板に当てた時、美幸はふと、この詩の執筆者の存在を強く意識した。
毎日、伝言板はすべて消されてしまうはずなのに、前日の私の文字に合わせるように、優しい言葉を繋げてくれている。
――これを書いている人は、私が帰宅したあとの夜、再びこの場所へやってきて私の残した文字を読み、それに合わせるように言葉を選び、またここに書き残してくれているのだ。
(きっと、毎日ここを利用する人、すぐ近くにこの人がいる――)
そう思うと、急に胸の鼓動が速くなった。
美幸は、駅の冷たい通路を足早に行き交う見ず知らずの人々の姿を、どこか期待を込めながら、目で追ってしまうのだった。