新宿駅に掲示板
12月に入り、新宿の街はきらびやかなクリスマスのイルミネーションと、山下達郎の歌声に包まれていた。
彼の詩に背中を押され、少しずつ前を向けるようになっていた美幸は、その日、仕事帰りに両親へのクリスマスプレゼントを買いに、いつもとは違う東口の伊勢丹百貨店へと足を延ばしていた。
無事に買い物を終え、ネクタイとハンカチの入った小さな化粧箱の手提げ袋を提げて、駅へと引き返す帰り道。
人混みを避けるようにして、普段は決して通らない、ビルの合間の薄暗い裏通りへと迷い込んだときだった。
冷たい夜風に乗って、アコースティックギターの切ない音色と、ひとつの歌声が聴こえてきた。
駅へと引き返しながら、美幸の頭の中にあったのは、やはりあの伝言板の続きのことだった。
自分が昨夜書き残した『見えないあなたの存在を気にしている』という不器用な言葉に、彼は今夜、どんな文字を重ねてくれるのだろう。それだけが今の美幸のささやかな灯りだった。
歩みを進めるにつれ、ストリートミュージシャンの歌声が、どこか心地よい温度を伴って近づいてくる。
深く被ったニット帽に、厚手の上着。寒さに耐えながらギターを爪弾く彼は、甘く切ない声色に乗せて、妙に胸を揺さぶるフレーズを口ずさんでいた。
彼の詩に背中を押され、少しずつ前を向けるようになっていた美幸は、その日、仕事帰りに両親へのクリスマスプレゼントを買いに、いつもとは違う東口の伊勢丹百貨店へと足を延ばしていた。
無事に買い物を終え、ネクタイとハンカチの入った小さな化粧箱の手提げ袋を提げて、駅へと引き返す帰り道。
人混みを避けるようにして、普段は決して通らない、ビルの合間の薄暗い裏通りへと迷い込んだときだった。
冷たい夜風に乗って、アコースティックギターの切ない音色と、ひとつの歌声が聴こえてきた。
駅へと引き返しながら、美幸の頭の中にあったのは、やはりあの伝言板の続きのことだった。
自分が昨夜書き残した『見えないあなたの存在を気にしている』という不器用な言葉に、彼は今夜、どんな文字を重ねてくれるのだろう。それだけが今の美幸のささやかな灯りだった。
歩みを進めるにつれ、ストリートミュージシャンの歌声が、どこか心地よい温度を伴って近づいてくる。
深く被ったニット帽に、厚手の上着。寒さに耐えながらギターを爪弾く彼は、甘く切ない声色に乗せて、妙に胸を揺さぶるフレーズを口ずさんでいた。