気になる彼の裏の顔。
No.1 絶対秘密
朝。いつものように制服に着替えて、朝食を食べて身支度をする。
肩下まで伸びたストレートの髪を梳かして、前髪に丁寧にアイロンを通す。
納得いくまで調整して、最後に軽くリップを塗った。
よしっ、準備完了っ……。
「行ってきますっ…!」
鞄を持ち家を出て駅までの道を歩く。
今日は前髪苦戦したなぁ。
私、姫乃 瑠奈は普通の高校一年生。
特に目立つ容姿でもなく、成績も普通な平凡女子。
だから少しでも可愛いくなれるように見た目には気を遣っているつもりだ。
元々が普通だからどうしようもないんだけど。
学校へ着いて上履きに履き替えていると、ぽんっと肩に手が置かれた。
「おっはよう瑠奈!」
明るいハスキーボイスで話しかけてきたのは塚原 琴葉(つかはら ことは)ちゃん。
ことちゃんって呼んでいる、私の大親友だ。
高校に入ってすぐから仲良くしてくれて、元気でとっても優しい子。
「おはようことちゃん」
笑顔で挨拶を返すと、ぎゅっと抱き着いてきた。
「はぁ、瑠奈はほんと可愛いなぁ」
そんなセリフに苦笑いを浮かべる。
私なんて、可愛いさの欠片もないと思うけどな……。
2人で教室まで歩きながら、ちらちらと感じる視線に逃げ出したくなった。
やっぱりことちゃんって人気なんだなぁ。
ふわっとした髪を高めのポニーテールでまとめていて、ぱっちりとした大きな瞳。
その上明るくて性格も良いから、モテるのがとても良く分かる。
本人は彼氏以外興味ないって言っているけど。
私もそんなことちゃんが大好きだ。
自分の席に荷物を置いて、隣の空き教室でことちゃんとおしゃべりするのが、朝の日課。
いつものように他愛もない話をしながら、HRまでの時間を過ごす。
「それでねっ、昨日も彼氏が家まで送ってくれたの!まじで神」
にこにこ嬉しそうに話す姿を見て、私まで嬉しい気持ちになる。
「ふふっ、大切にされているんだね」
「まあね!てか瑠奈は?好きな人とか彼氏とかいないの?」
突然の話題にびくっと肩が跳ねる。
「いない、かなぁ……」
気になる人、ならついこの前までいたんだけど。
「えぇ〜?じゃあ一ノ瀬とかどう?王子様じゃん」
口を尖らせて言うことちゃんに身体がぎくっと音を鳴らした。
一ノ瀬くんは、私が気になっていた人だ。
今はもう"ある秘密"を知っちゃったから……。
「私じゃ釣り合わないよ」
無難な返事を返し、小さく俯く。
でもこれは本当のことだ。
あんなカッコよくて凄い人に、私みたいな平凡女子は似合わないと思う。
たとえ彼にどんな一面があったとしても。