お隣さんの距離感がバグってます!
大型単車の上から、副総長の颯太さんが低く笑う


その後ろからは、刹那の単車も静かにエンジンの音を響かせながら、私たちの目の前でピタリと止まった


お兄ちゃんはヘルメットを外すと、雨の中でも完璧に整った髪を少し揺らし、メガネをクイッと上げた


その目は、完全に『黒曜』の幹部としての冷徹な光を帯びている


「空。昨日あれほど鈴音に近づくなと忠告したはずだが。……その左手は、今すぐ叩き斬られたいという意味か?」


「刹那、待って! 空は傘を忘れた私を入れてくれただけなの!」


私が空の前に割って入るようにして叫ぶと、お兄ちゃんはフッと表情を和らげて単車を降りた


「鈴音、お前は悪くない。……だが空、お前が鈴音の肩に触れていい理由にはならない」


「一之瀬先輩……。俺は、鈴音を雨の中に置いていけません。たとえ先輩たちに目を付けられても、これだけは譲れません」


空は怯えを隠すように奥歯を噛み締めながらも、私の手を握り直して真っ直ぐにお兄ちゃんを見据えた


その男気に、颯太さんが「へぇ……」と面白そうに目を細める
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