お隣さんの距離感がバグってます!
「鈴音、リボン曲がってる」


「えっ、嘘、どこ?」


「ほら、じっとしてろって」


自然な動作で、空の手が私の襟元に伸びる。


細くて綺麗な、だけど男の子らしい大きな手が、私のリボンを優しく整えていく


空の体温が、すぐ近くにある


すれ違う同じ学校の生徒たちが、「あ、また神谷と一ノ瀬だ」「あの2人、やっぱり付き合ってんのかな?」とヒソヒソと囁く声が聞こえた


「……あ」


その瞬間、空の手がピタッと止まった


お互いに、周りの声を意識してしまったのがわかる


いつもなら「付き合ってねーよ!」って笑い飛ばせていたはずなのに、なぜか今朝は、お互いに言葉に詰まってしまって。


「……よし、直った。行くぞ」


「う、うん……ありがと」


少しだけ距離を空けて、私たちは駅に向かって歩き出す。


ただの幼馴染


それ以上でも、それ以下でもないはずなのに、私たちの距離感は、この春から確かにバグり始めていた
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