ミラーボール


私もそれまでは上達してきていた歌唱力やギターテクニックが段々と変わらなくなって、何をしても上手く出来ない時期に入っていた。



スランプ、と言うものだったのかもしれない。



ファンの減少に続いて失敗が増えていく。



歌詞を忘れる事も、リズムを忘れる事も、コードを間違えることも多くなった。



「ちゃんとしてよ」



ある日、メンバーの一人が、そういった。



「してるよ、上手くいかないの」



「ひなたの『ちゃんとしてる』はあたしたちの『ちゃんと』まで来てないの」



「気付いてる?皆がやりづらいこと。ひなたは自分ばっかで周り見てないんだよ」



リーダーでもあった私は、この頃から少しずつメンバーとの行き違いが起きて、副リーダーであるベースの実花の最後の言葉に私は、口を噤んだ。


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