ミラーボール
そう言っていた瑞希が死んだのは、私が大学へ進んで、二年が経った頃だった。
その頃の私は課題のレポートや、アルバイトに追われてギターを手にする時間が殆どなくなっていた。
そんなときに、届いた訃報。
この間まで、連絡を取り合っていたのに。
事故死した彼女は、顔に幾つかの傷を作って棺桶に寝そべっていた。
傍には、ギターだけ。
他には何もない。
それは、ギター以外に愛したものがなかった人生だったという事を、ギターだけを愛して生きた安藤瑞希と言う人を物語っているようだった。
『叶ったら幸せ』。
瑞希はそう言っていたけど、叶えられた瑞希の夢を、私は『おめでとう』と祝福することは出来なかった。
幸せな彼女を見て、私はただ泣いた。