窓のない窓際
「だけど私、なんにも見えないんだよ!?
映画だって、美術館だって、図書館だって一緒に行けないんだよ……!?
こんな女つまらな……」
「映画は置いといて、美術館も図書館も俺行かねーし!
興味ねーし!
なんだよ美術館と図書館って!
生まれこのかた1回も行ったことねーよ!」
水上の制服を掴む力が一瞬弱くなる。
「目ェ見えなくても耳と鼻と口は使えんだろ!?
俺の声聞こえんだろ!?
花の匂い分かんだろ!?
うまいもん食えんだろ!?
十分じゃねーか!
次のデートはカラオケ行って花畑行って俺んちの近所のめちゃくちゃうまいお好み焼き屋行こうぜ!」
つい熱くなってしまった。
でも、熱くなって正解だったみたいだ。
水上、笑ってる……。
「……宮本くんって変わってるね」
「は!?」
お……お前に言われたくねええええええ!
冷静にツッコむ心とは対照的に、心臓は鼓動を刻むスピードをどんどん加速させる。
「ありがとう」
水上が俺の制服から手を離した。