青い空の下で
第4話

「モモ!!」



私は砂浜に足をとられながら,
モモを追いかけて岩陰まで走っていった。

そんな私の視界に入ったのは,
あの男だった。
それも一人ではなかった。

それは
とてもきれいなkissシーンだった。

私は声もでず,
その場から動けなくなった。
綺麗な男の人が二人,
海をバックにkissをしている。

まるで,そこだけ別世界のようだった。
漫画からでてきたような世界が,
今目の前にある。



私はモモを追いかけることを忘れて,
しばらくその二人を見つめてしまった。

その中世的な男の子と
呼ぶ方があっている若い男と,
あの名前も知らない男だった。

二人の男の横顔に
海からの太陽の光の反射が
きらきらと映り,
まるで映画のワンシーンのようだった。

二人は綺麗なkissを繰り返すと,
私にきづいたのか,
ゆっくりと唇を離して私へ視線を向けた。

その二人の視線に私はふと我に返って,
慌ててモモを探しに行こうと足を踏み出そうとした。


「痛っ。」

左の足首に激痛が走り,
その場に座り込んでしまった。



一秒でも早くこの場から立ち去りたかった。

さっきのkissシーンが現実ではなく,
夢でみたものとして,
綺麗な記憶として自分の中に残したかったから。

しかし,
それは無理な願いであることに,
あの男の一言で気づかされた。

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