青い空の下で
第5話

私は,
自分自身の中に目覚めた感情を自覚した。

もしかしたら,
私はこの男に恋をするかもしれない。

今の主人には持ったことのない感情を,
この男には持つかもしれない。

それは,
胸の奥に大切に抱えている
真人への感情と同じ感情・・・
もうずっと過去に忘れてしまった感情。



男はその答えに反応を見せずに,
そのまま歩きつづけた。



波は一定のリズムを刻んで
海岸へ波を打ちつけ,

その波間に
まるで笹舟のように
何人かのサーファーが
大きな波を待っていた。

そのはるか向こうに,
海の青さと空の青さの境界線が
曖昧な線を描いていた。


私たちから数メートル後ろでは,
若い男がモモに遊ばれながら,
時々楽しげな笑い声を上げて
ついてきていた。



空には
二羽の鳶が上昇気流を探して,
円を描いて舞っていた。

きっとあの二羽はつがいなのだろう。

お互いの距離をある程度保ちながら,
まるで二人でダンスを
舞っているような優雅さで
大きな翼を広げていた。

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