青い空の下で
第8話
真人の声を数年ぶりに聞いた私は,

しばらく身動きもできず,
涙をふくこともなく,
ただその場に立ちすくんでいた。

ただ

私には
決して連絡をしてくることのない
真人の最後に聞いた棘のある言葉が
心の奥から湧き上がってきて,
私の心を突き刺し始めた。

その痛みに私は耐えかねて,
慌ててシャワーを浴びると,

そのまま渉を起こすことなく
部屋を後にした。

それからの毎日は,
私の心は真人のことでいっぱいだった。

どうにか家事をこなし,
子どもや旦那の世話をしていても,

私の心は,
自分で抑えようのない真人のことで
いっぱいだった。

真人への想いで,
息をするのも苦しくて,
食事も満足に喉を通らなかった。

ふとしたことで,
真人を思い出し,
涙が溢れてきてしまった。

「来月に,真人はここに帰ってくる・・・」

その言葉だけが
何度も何度も
エコーのように繰り返されていた。

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