青い空の下で
「とも。お前のピアノ音が好きだ。
 まるで一音一音に
 羽がついているみたいに
 天高く広がっていく響きだ。
 すごく心地いいんだ。
 そうだ。
 これから俺はお前のことを
 音羽と呼ぶ。」


そう,何度かベットを共にした時に,
真人が私を背中から抱きしめたまま
言った言葉だった。

それから,
真人は私のことを音羽と呼び始めた。

他の人とは違う呼び方が,
私が真人にとって
特別な存在であること
誇示しているみたいで,
最初は恥ずかしいかった。

しかし,耳慣れしてくると,
真人の落ち着いた低い声音で,
音羽と呼ばれると
心の奥がジーンと響いて,
そのまま真人の胸の中に
包まれているような
感じがして,

私は一人じゃないんだ
という安心感に包まれた。


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