青い空の下で
遠くから名前を呼ぶ声が聞こえた。
「夢?・・・」
重たい瞼をゆっくり開くと,目の前には真っ白な天井が見えた。
そうだった。点滴を受けに来て,そのまま倒れたんだった・・・

「ようやく,眠り姫のお目覚めか。俺にペンより随分重いものを持たせやがって。
 もう少し,自分の体調もしっかり管理してくれないと困りもんだ。
 このまま入院させてベットと共にあの世に送ってやるぞ・・・
 倫子,本当に寿命が縮まるからな。冗談抜きで。」

「ごめんね。雅之。」私は無理に笑って答えた。

「こら,先生と呼べ。」と言うと,カルテで軽く私の頭をたたくと
「しばらく休んでから,ライブへは行けよ。薬出しとくから。」
そういって,部屋から出て行った。

「ありがとう。」私は雅之の背中へ向かって頭を下げた。
そして,痛みから解放された私は,瞼を閉じると眠りについた。
どうか,今夜のライブまで痛みが再発しないように,と願いながら。


どれくらい眠ったのだろうか。

「出て行け!!」
珍しく雅之の怒鳴り声が遠くで聞こえたような気がして,
私は眠りから現実に引き戻された。

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