ハクバの王子
「おっ、ユキ。おはよ。ヒナコちゃんも」

「ユウヤ!おはよ。キマってんじゃん!制服」

「だろ?やっぱオレって何着ても似合う?っつて!(笑)」

「なぁ~に言っちゃってんの!?ばーか。ねぇ、ヒナコ」

「あははは。相変わらず仲いいねー、二人とも。」

「笑い事じゃないって!こんなばか、うちらと同じ学校ってことが奇跡だね。キ・セ・キ!」

「うっせぇ!ヒナコちゃ~ん、助けて~」


「ん~…っと、私先行くわ!お二人で楽しんで!じゃね」





いつも私が2人から逃げる。

なるべく3人にならないように。

なるべく離れるように。





桜並木を駆けながら、
ふと思う。



『あれ、今日アメじゃないんだ。変なの。』

そう。
私はアメ女。


今日はいつもならアメの日。



前もこんなことあったっけ…



“彼”に出会った日も、珍しく晴れた日だった。






走りながら
あのビニール傘のことを
思い出していた。
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