奴のとなり



ナナミさんは何も口を挟まず、
時に「うん」だとか
「それで」とかしか言わない。



よくよく考えてみると振った人に、
彼氏の相談するなんて人としてどうよって思うけど、
相談しない方がナナミさんを傷つける気がした。



話さなくてもバレてるから、
だからこそ話さないのは避けてるみたいだし。



一気に話し終えると、
喉が酷く渇いてあたしはジュースを飲み干した。



「一樹の嬉しそうな顔が目に浮かぶよ」



そう一言言うと、
ナナミさんはあたしのコップに
ジュースを注ぎ足す。



ナナミさんにしては、
やらしい顔で笑ってて、
何ていうか頬が緩んでるって感じ。



何で?



どこが緩みポイントだったの?



不思議そうに首を傾げてると、
ナナミさんは小さく噴出した。










< 260 / 555 >

この作品をシェア

pagetop