奴のとなり



振り返ると、小悪魔さんが見上げている



「早く知らせないとっ」



「そうね。でも今は授業中だし、休憩時間に直接会って話すほうがいいわ」



手を掴まれて少し冷静になる



桃矢くんはもちろんだけど、ケイちゃんにも知らせないと



一応、ナナミさんにも



「サボりついでに、次も付き合ってくれる?」



「もちろん」



顎に手をあてて、にっこりと微笑むと、あたしたちは授業が終わるまで話し続けた



主に妊娠疑惑が起こったときから今までについて



言っちゃ悪いけど、言ったらケイちゃんに絶交宣言されそうだけど



ケイちゃんの話は面白かった



孫が出来たおじいちゃんみたいに、服やら用具やら玩具やらを見に小悪魔さんを連れまわしたらしい



話していると時間なんてあっという間で、いつの間にか授業終了を告げるチャイムが鳴り響く



あたしは携帯を取り出すと、桃矢くんを電話帳から検索し、電話をかけた



プルル



2、3回ですぐに電話は繋がった



『桜、どうした?』



こんなタイミングで電話したからか、桃矢くんの声には不安が感じられる



早く心配から解放したげないと



「あのね、話があるのっ!」



『……あぁ。ど『一樹ーっ!!せんせーが呼んどる!!』』



あちゃ



桃矢くんの声がかき消されるくらい、大きなケイちゃんの声が聞こえる



『……わかった。悪い、呼ばれた』



「うん、聞こえた。行ってきて」



話せなかった



早く知らせなきゃ



そういう時はどういうわけかタイミングが悪い



早く誤解を解いてあげたいって思うのに











.
< 545 / 555 >

この作品をシェア

pagetop