林檎と、キスと。


「オレの、勘違いだった…ってこと?」

ずっと頬杖をついていた彼。

突然、両手で頭をガシガシと掻いたあと、そのまま頭を抱え込んでしまった。


「……え?」

なんのことだかさっぱりわからずに、わたしはフォークの柄を握りしめ、そんな彼の姿をただ見つめていた。


「おまえはずっと、オレのこと…。オレに、……気があるんだとばっかり…」


「ひぇっ!?」

すっとん狂な声を出してしまったわたし。

うなだれるように下を向いていた彼が、ゆっくりと顔を上げた。


バチッと、わたしと彼の視線がぶつかる。

心臓はドクドクと激しく脈を打ちはじめ、

「な、なんで…」

言葉の通り過ぎた唇が、小さく震える。


“なんで、そう思ったの?”

< 13 / 20 >

この作品をシェア

pagetop