有罪モラトリアム

そして電車は目的地に着いて、歩いて水族館へ向かいました。

入場門から水族館まで歩くとき、海風が吹いていて、
円いドーム状の水族館を取り囲むようにして、
青い海が見えていました。

隣には笑顔の彼。
夢をみているみたいでした。

彼「チケットは買っておきました。」

と、私にチケットをくれました。

私「あ・・・お金を・・・。」

彼「僕が誘ったんですから、奢らせてください。」

ぅぅ、いいのかなぁ・・・。
こういう時、どうしていいのかわからなかった。

私「ありがとうございます・・。」

薄暗い水族館内を、2人でゆっくり見て回りました。
私と彼は夢中になって、魚達にみとれていました。

彼「もうすぐイルカショー始まりますね。」

私「早めに行かないと、いい席なくなっちゃいますよ。」

彼「あと20分ですのでもう行きましょうか。」

でも、ショーって屋外でやるもんなんですよね・・・。
すっかりそのことを忘れてましたょ。

さ。さむいいぃぃ。

イルカは水の中にいて平気なのかしらん・・・。

彼「何かあったかいもの買ってきますね。
  何がいいですか?」

私「じゃあ紅茶を・・・。」

2人で紅茶とコーヒーをすすりながら、ショーの開演を待ちます。
そのとき、彼が私に言いました。

彼「あの・・・急にこんなこと言うのも変な話なんですけど、
  ユキさんの本名を教えてもらえませんか?
  僕は○○○○といいます。」

私「私は○○○○です。
  そういえば、まだお名前も知らなかったんですねw」

彼はお財布をごそごそ。
学生証を取り出しました。

彼「僕はこの大学に通っています。」

私「私は○○高校ってところですw」

・・・。

なんだか、だんだんおかしくなってきてしまって・・・
クスクスと笑い始めてしまいました。
彼も笑っています。

彼「変ですねw」

私「こんなことも知らなかったなんてw」

彼「イヴにデートしてるのにw」

それから私と彼は、普通のカップルなら知ってて当たり前のようなことを確認しあいました。
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