ユキの奇跡

かけられた、声


 「おはよ!」
 
 途端、急に後ろから声がして、背中をポンっとたたかれた。
 
 「おはよ。高木さん」と笑う声の主は、クラスメートの結城(ゆうき)君だった。彼は、私の横に並んで歩きながら、もう一度私に話しかける。

 「え、あ、おはよ、う」
 「いい天気だよね~」
 
 眩しそうにしながら天を仰ぎ見る。
 
 「高木さんは、どんな天気が好き?」
 「え、天気?」
 「俺さ、晴れも好きなんだけど、雨とか雪とか好きなんだよね」
 「雨、雪…?」
 「そ。なんかさ、空と繋がってる感じしない?」
 「空と、繋がって…ああ、なんとなく、わかる気、する」
 
 そのまま、私と結城君は、二人で教室へと向かった
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