実の弟に恋をしました。
そんなあたしの気も知らず、陸は栗色の髪の毛を慣れた手つきで操っている。
あたしは壁に寄りかかりながら、その光景をただぼんやりと眺めていた。
「…そんな見られたら気が散るんだけど」
ふと、鏡越しに目が合う。
「……別に、そんなにキメる必要ないじゃん。たかが近所のスーパーに行くぐらいで」
なんて、意地悪を言ってみたりして……。
すると陸は、はぁー、と大きくため息をついて口を開いた。
「分かんねぇかな?男心って」
「はぁ、男心?」
…て。
なんじゃそりゃ。