実の弟に恋をしました。



そんなあたしの気も知らず、陸は栗色の髪の毛を慣れた手つきで操っている。


あたしは壁に寄りかかりながら、その光景をただぼんやりと眺めていた。



「…そんな見られたら気が散るんだけど」



ふと、鏡越しに目が合う。



「……別に、そんなにキメる必要ないじゃん。たかが近所のスーパーに行くぐらいで」


なんて、意地悪を言ってみたりして……。


すると陸は、はぁー、と大きくため息をついて口を開いた。



「分かんねぇかな?男心って」


「はぁ、男心?」



…て。
なんじゃそりゃ。




< 187 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop