実の弟に恋をしました。






──パタン。



あれからどのくらい経っただろう。


玄関の開く音に、あたしはハッと我に返った。


気づけば、窓の外は真っ暗だ。



…やだ。

あたし、寝ちゃってたんだ…。


ここ最近、ずっと寝不足だったからかな…。


って、そんなこと考えてる場合じゃない。



あたしは慌てて体を起こすと、玄関へと走った。




「……陸っ!」


「…ただいま」



ギュウッと抱きついたあたしを、優しく包み込む陸。


「……真弥、体、冷たい。ずっと待ってた?」


「遅いよ、陸っ……」



堪えていたはずの涙が、いっきに溢れてくる。


泣かないって決めたはずなのに。



< 270 / 380 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop