【短編】また…いつの日か
…―――カチ
時計の針が定時を指す…
まわりが一気にうるさくなった。
今日はみんな、部の飲み会に参加するため、残ったのはあたしと駿だけになった。
あたしは、誰もいなくなった事を確認して、鞄を持って駿に近づいた。
「どーしたんすか、めずらしいですね、先輩が誘うなんて」
駿、誘ってるんじゃないんだよ…
「駿…今までありがとう」
「え…?」
あたしの言葉に駿が目を開く。
「あたしは、駿のおかげで変われた。
だから…もうあたしはいいよ…。
また前のあたしみたいな子を変えてあげて?」
「何…言ってるんですか…?」
「駿、海であたしのことピュアだって行ってくれたじゃない?
それは駿がいたから、ピュアになれた。
あたしをピュアにできるぐらい、駿はピュアなんだから…
その純粋さがあれば、これからどんな時でも乗り越えていける。
だから……その純粋な心だけはなくさないで。
あたしはもう大丈夫だから」
あたしは必死に涙をこらえて、駿の目を見て言った。
「俺は…先輩だから変えられたんですよ!!
奈津だから…!!」
「あたしも駿だったから、変われたんだと思う。
一緒にいて、楽しかったし、笑えるようにもなった。」
「じゃあなんで…!!」
「でも、もうあたしは駿のそばにいちゃいけない。
今までありがとう…」
あたしは頭を下げて、駿の横を通り過ぎた。