愛しいキミへ
宝物
クリスマスイヴ───

街は賑わいを見せている。
どこに行っても幸せそうなカップルが寄り添って歩いている気がする。

そんな日に、俺は朝からバイトをしていた。
先月シフトを作る店長から「24・25日に出勤してくれないか?」と頼まれた。
休みが多くて人が足りなかったみたいだ。
特に予定がなかった俺は了承。
・・・バイト中は余計なことを考えないですむから、出勤して良かったかもしれない

返却されたDVDを棚に戻す作業中。
あと30分くらいで休憩時間だし、お客さんが少ないってことでゆっくりと作業していた。

「すみません!アニメってどこにありますか?」
「はい!いらっしゃいませ。」

後ろから声をかけられて、笑顔を作って振り返る。
休憩時間前で少し疲れていたが、営業スマイル。
・・・でも、振り返った瞬間にせっかく作った笑顔が消えた。

「…何でいるんだよ。」
「よう!頑張ってるか?」

ケラケラ笑って立っていたのは・・・直哉。
ジャケットなんか着て、いつもよりカッコつけている。

「イヴなのに、何でこんなところにいるんだよ。」
「これから会うんだよ。その前にDVDでも借りようかなぁ~って思ってさ♪」
「…DVDなんて借りたら荷物じゃね?帰りにしろよ。」

するとヘラヘラしていた顔が、みる見るうちに真っ赤になった。
・・・なんだこの反応は?
絶対になんかあるな

「なに?今日なにがあるわけ?顔が真っ赤だぜ?」
「はっ!?別に何もねぇよ!?」

さらに顔を赤くして慌てて誤魔化す。
この誤魔化しかたは怪しすぎる・・・聞き出すしかないっしょ♪
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