愛しいキミへ
「違う。そんなんじゃない。俺が…俺が最低な人間だから…。」
「それじゃ、わかんない!私は…別れたくない!!今日…記念日なんだよ…?なんで…そんなこと言うの?」
由香利の頬を大粒の滴が流れる。
雨じゃないのはわかってる・・・。
でも、雨だと思いたかった。
俺のために、こんなに涙を流してくれるなんて・・・わかりたくなかった。
「雅樹くん…やだ…。」
俺の腕を掴む手が震えていた。
さっきの・・・沙菜の姿と重なる。
こんなに傷つけた悠兄を最低だと思った。
でも俺も今、全く同じことをしているんだ──
「ごめん…。他にどうしても守りたい子がいるんだ。もう、この気持ちを誤魔化せない。」
ごめんっと頭をさげる。
由香利は何も言わなかった。
ただ涙を流し続けていた。
「傷つけて…本当にごめん。」
何も言われない空間に耐えられなくなり、もう一度頭をさげてその場を離れた。
それでも、由香利は何も言わず・・・追いかけてくることもなかった。
罵倒されたり、ぶたれたりしたほうが楽だったかもしれない。
「最低だ」と言われたかったのかもしれない。
こんな俺をまだ好きだと・・・ビシビシと伝わる空気が辛かった。
「人を振るのって…こんなにキツいんだ…。」
傷つけたくせに・・・なぜか自分が泣きそうになっていたんだ。
家に着くと、ちょうど洗面所から出てきた母さんと出くわしてしまった。
全身びしょ濡れな俺を見て、子供を注意するかのように怒られた。
「それじゃ、わかんない!私は…別れたくない!!今日…記念日なんだよ…?なんで…そんなこと言うの?」
由香利の頬を大粒の滴が流れる。
雨じゃないのはわかってる・・・。
でも、雨だと思いたかった。
俺のために、こんなに涙を流してくれるなんて・・・わかりたくなかった。
「雅樹くん…やだ…。」
俺の腕を掴む手が震えていた。
さっきの・・・沙菜の姿と重なる。
こんなに傷つけた悠兄を最低だと思った。
でも俺も今、全く同じことをしているんだ──
「ごめん…。他にどうしても守りたい子がいるんだ。もう、この気持ちを誤魔化せない。」
ごめんっと頭をさげる。
由香利は何も言わなかった。
ただ涙を流し続けていた。
「傷つけて…本当にごめん。」
何も言われない空間に耐えられなくなり、もう一度頭をさげてその場を離れた。
それでも、由香利は何も言わず・・・追いかけてくることもなかった。
罵倒されたり、ぶたれたりしたほうが楽だったかもしれない。
「最低だ」と言われたかったのかもしれない。
こんな俺をまだ好きだと・・・ビシビシと伝わる空気が辛かった。
「人を振るのって…こんなにキツいんだ…。」
傷つけたくせに・・・なぜか自分が泣きそうになっていたんだ。
家に着くと、ちょうど洗面所から出てきた母さんと出くわしてしまった。
全身びしょ濡れな俺を見て、子供を注意するかのように怒られた。