紫陽花

そして 出会い

 自分で持ちたいといったものの
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
重い
こんな重かったとは
鞄を持つ手に力を入れたが、1mmさえ動かない。
あれ?私ってこんなにひ弱でしたっけー?
でも、鞄といっても キャリーケース ですからしょうがないですね。
 
「「お?千尋じゃん!おはよー」」
声のした方向に振り返ると、茶色の髪に赤のヘアゴムで横をしばっているそっくりの男の子が視界に入ってきた。
「緑光さん、華光さん?」
「「そうだよ~」」
聞き覚えのある声に安心した。
「お久しぶりです。」
一礼をした。
「ロンドンに留学しているとぞんじあげておりました。滞在中はいかがお過ごしでしたか?」
「留学っつっても橘グループのロンドン支社に視察にいってたんだけどね~。でもほとんど遊んでたよ」
「千尋も連れて行きたいくらい楽しかった☆」
・・・・・・・何の為の留学ですか?
「・・・・・?あれ?千尋なんか暫らく見ない間に綺麗になった?」
「!!!!!!!!!!!!」
嬉しいやら恥ずかしいやらで顔が火照った。
「そそそ、そんなことありません!ふ不埒ですっ!」
「「ごめん、ごめんでもホントの事だよ?」」
すごく恥ずかしい・・・・。
マンガで例えるなら、頭から水蒸気がブシュー のイメージ。
「いっけね。緑ー今何時?」
「んーとね・・・・7時半」
「もうそろそろ行かなきゃじゃん。千尋も一緒に行こうぜー」
「はい。」
鞄を持ち上げたらまったく動かない。
忘れてました・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「「千尋持てないの~?」」
こくりとうなづく。
「「じゃぁ、俺達持ってあげるよ~」」
「でも・・・・」
「「いいの、いいの♪女の子がこんな重いもの持っちゃダメだって」」
「じゃぁ・・・・・・・・・」
かなり申し訳ない。
自分が情けない。 
周りを見れば皆さん自分で持っていらっしゃるのに・・・・・
筋トレでもしましょうか・・・・・





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