林檎と蜂蜜

「た~~け~~~」

学校に着いたら、どすの効いた声で僕を呼ぶ声がした。階段のほうに顔を向けると、隆司と梨紗が丁度降りて着ていた。

「おはよ。」

「猛、おはよー。」

「おはよ、じゃねぇよっ!おまえなぁ」

隆司が僕に突進する勢いで詰め寄ってきた。

「ちょ、予鈴なるって。」

微笑みながら隆司に小声で耳打ちをする。

「梨紗もいることだし。」

隆司はぐっと言葉を呑んで僕をにらみつけた。梨紗はわけがわからないといった困惑の表情を浮かべている。

「あとで覚えとけよっ」

「ふふふー。」

「猛、今日は機嫌がいいね。」

昨日までのやり取りが嘘みたいに、二人の間の微妙な空気が消え去っていた。

ま、僕のおかげなんだけどね。
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