来る来る廻る

感情が、制度と共に常に足並み揃えて生きていけるならば、どれだけ人は楽になるだろうか…。

感情と制度…何故に、個々独立して分かれているのだろう…。

部屋に戻ると、両親が心配顔で待っていた。

まるで、小さな子供を待つように…。

そして三人は、それぞれ眠りの世界へ…。

入り口は三つ…それは別れの予告のように…。

帰りの新幹線…行きはよいよい、帰りはこわい…どんよりと濁った空気が漂い、行きと同じ駅弁を口にしたが、全然美味しくなかった…と言うよりも、何の味もしなかった。

大きな手を広げた駅が、三人の別れを待っていた。

でも、これが最後ではない筈だ…。

そうだ!こんなにも母が喜ぶなら、また次の旅行も、父を誘えばいいんだ!

私は父に言った。

「お父さん、半年後、また時間作ってくれない?」

父は微笑み頷いた。

無言で……。

母が急に泣き出した。

父が母を抱きしめる。

私は必死で慰めた。

「お母さん、こんな所で泣いたらみっともないよ。いつでも行けるじゃん!そんなに泣いたら、お父さん別れづらくなるよ」


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