いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「シュラ! おまえにユナを渡すつもりはない! 去れ!!」

なになになに?
シュラってなに?

「あの男の名前ですよ、姫様。シュラ=ハーン。魔族の王子の名前です」

「黒木聖吾だってば!!」

瞬間、三人は小さくため息。


なんで?

あたし、おかしなこと言った?

だって、あの人の名前はそうなんだもん。


「それは、姫さまの世界でのアイツの名前です。よーするに偽名使ってたってことです」

「偽名?」

『それって誰の?』っていう言葉を飲み込んで、先輩を見る。


クロキセイゴ=シュラ=魔族の王子??


頭の中、なんかグルグルする。

いったい、どうなっちゃってる?

これって悪い夢?


「おい、シュリ(出来損ない)! おまえに指図される覚えはない。おまえこそ、彼女を置いて消えろ! 目障りだ」


悪い夢だと思いたいー!!


先輩がシュリを知っていることも。

先輩の背中に変な羽根が生えていることも。

先輩が変な生き物、ぞろぞろ連れてることも。


全部夢だと思いたい!!


ほっぺたを思いっきりつねってみる。

(いたーい)

ジンジンした熱い痛みだけが残る。



(ああ、夢じゃない――っ!!)
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