やくざな主人と生意気ペット
「よぉ、久し振りやなぁ神無月」
「てめぇなんで此処にいんだよ」
事務所に入るとアキラの姿が視界に飛び込んできた。
またコイツと組むのか?
それだけは御免だ。
「おー、神無月も来たね」
奥の部屋から出てきたアスカさんの手にはいつもより多めの資料。
「今日はお前ら二人でやってね」
「やって、神無月。今晩もよろしゅうお願いします〜」
やっぱりか。
「翔に変えて下さいよ」
「無理よ。もう別件で外出てるもの」
「じゃあ早乙女で」
「早乙女は今向こうでハッキングっちゅーのんか?やっとるから無理や。コンピューターの事はようわからんわ」
「てなわけだから。ほら、文句言わずに早く行きなって」
アスカさんに投げつけられた資料を拾い、急いで事務所を出る。
あの人キレると厄介だからな。
「今日の仕事はどんなんかな〜?」
「おい、てめっ…」
アキラは俺から引ったくった資料をパラパラと捲る。
が、アキラの顔が徐々に曇る。
「まさか、アレか?」
俺の嫌な予感は何故か100%の確率で当たってしまう。
「アレよアレ。なんやねんなもう、今日は俺らツイてへんど〜」
やはり100%、だった。