やくざな主人と生意気ペット
「ぎょうさんおるど、今回も」
助手席のシートを倒し、仰向けに寝転がりながら独り言のように呟くアキラを横目に、資料に載っている場所に車を走らせる。
「ドラッグのどこがええんかなぁ」
「やってみりゃわかるんじゃねぇの?」
「アホか、俺かてそこまで悪ぅないわ」
俺らもやくざだからやっててもおかしくはないんだけど。
まあその辺は常識があるんでね。
そんな事を考えていると目的地が見えてきた。
「あ」
間抜けな声を出すアキラに思わず舌打ちが出た。
「何」
「神無月、俺らやっぱ今日ツイてんで」
「はぁ?」
「こーれ」
起き上がったアキラが指差す資料の一枚には、どこかで見たような気がする眼鏡の男の写真が載っていた。
「誰だよ」
「お前知らんのか!アホやなぁ。あのロックバンドのギターボーカルやんか」
「…あぁ」
思い出した。
こいつ、こはるのお気に入りじゃん。