ページェント・イブ ~エリー My Love~【長編】
「エリ?………顔が青いけど、大丈夫?」

「………ほぇっ?………うん、大丈夫大丈夫!」

首を縦にブンブン頷く。

バカだ……強く振りすぎて頭クラクラ………。

「そっか?………あんまり緊張しなくていいから。さっきあんなコト言ったけど、普段は気さくだから、ウチの家族」

緊張しなくて……って、屋敷みたいな家を前にして、ましてやあのドアの向こうには、水嶋真一をこの世に生んでくれたご両親がいるワケで………初めて挨拶するワケで………。

「エリ、口ぱくぱくさせて金魚みてぇ」

「えっ?マジ?」

もう心臓バクバク言ってるよ………。
さっきより早くて強い鼓動………。
口から心臓出てくるって!

意識がもーろーとして、半分抜け殻みたいな感じになってた。



「……………ただいま~」

あ……香りで判る………。
この純和風な玄関の引き戸は、そう、檜だ。檜の香りだ………。

一瞬にして、ふわっと優しい風が吹き抜け、森の中にいるような錯覚になった。

朦朧としてた意識が少しずつ、覚醒されてきた………。
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