2LDKのお姫様
戸棚から一斤、淡い小麦色をした食パンを取り出し、4枚ほどスライスする。
冷蔵庫を開けて「ジャムも」と付け加える。
『ぅん……』
ようやく彼女が落ち着いた。
昔から弄られやすい人らしく、最近はそのアフターケアは全て彼の仕事だ。
しかしあまり話かけてはくれないけど。
いつも小さく頷くくらいで、今思えばあまり彼女の声を聞いたことがない。
少し温かくなったリビングに良い香りはないけれど
色とりどりの美味しそうな料理が並べられた。
「美味しそう……」
と眠り人たちは直ぐに箸を持つ。
しかし
『…………』
むす〜っと少し怒った顔をして辺りを見つめる彼女。
「……ごめんごめん…いただきます」
彼女は行儀の面では少し厳しい。
もちろん彼にも。
『ぃただきます』
「いただきます……」