2LDKのお姫様
『はぁ……』


部屋に着いて、まず、溜め息がこぼれてしまった理由は、決してこの両手に大量の荷物を持って長い距離を歩いて来たからではなく、はたまたエレベーターが故障していて長い階段を延々と登って来たからという訳ではない。


『卵忘れてた』


そう。卵を買い忘れたのだ。


歩きながらメニューを考えていたのだが、その時に彼の好きなモノをばかりを挙げながら考えるのがシオリの性格。


彼はお肉をあまり食べないのだが、鶏肉はよく食べている。その上、卵料理が好きと来ている。


ならば、親子丼だろう。


そう思ってスーパーへは行ったのだが、鶏肉選びに気を取られ、肝心の卵を忘れていたのだ。


『どうしよう……』


流石に疲れた。またあの辛いループを繰り返すと思うと、気が滅入りそうだ。


それよりも体力的にも辛い。現実を言えば少し頭が痛い。


生理中では無いことが囁かな救いだ。


しかし、親子丼に卵無しは有り得ない。


『大くん卵買ってこないかな…』


そんな淡い期待さえ持ってしまうほど、滅入っていた。





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