Magical Moonlight

真夜中の鐘

 職員室には、月の光が差し込んでいた。

 ネコは、それを見ると、私の腕の中からすり抜けて、窓際へ移動した。

 光が当たって、ネコの毛がまるで宝石のように輝いている。私は、月の光の中で動き回る、そのネコに見とれていた。


 と、その時!

  ボーン、ボーン、ボーン…

 玄関前の柱時計が、12時を告げた。

 胸騒ぎがした。「ここから出ないといけない」そう思った。

「ネコ、…ネコ!」

 私は、ネコを呼んだ。ネコを残して、ここを出るわけにはいかないから。

 ネコは、私の声を聞くと、その場に座り込んだ。

「早くここを出よう。もう12時だよ。私も、明日テストだから、早く寝ないといけないし」

 でも、ネコは、首を横に振った。…11回目の鐘が鳴った。

「そんなこと言っても、ずっとここにいるわけにはいかないんだよ!」

  ボーン…

 12回目の鐘が鳴ったその瞬間、突然、ネコの体が輝き出した!

 私は、黙って立っているだけだった。体を動かすことができなかった。

 光の中で、ネコはだんだんとその姿を変化させていった。そして、その光が、体に吸い込まれていった時、そこに立っていたのは…

「杉峰君!?」

 ネコの代わりにそこにいたのは、…隣のクラスの、杉峰浩登君だった…。
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