輝かしい変貌

それぞれの始まり

「あれ、先輩元気ないじゃないっすか~」
石川くんはいつもの調子で語りかける。 「まぁな。それよりも例の見積書、出来たのか?」
「あっ、いけね!まぁ今日中だから余裕っしょ!」
そんな石川くんの話を聞いてると、高橋さんも肩の力が抜ける。ある意味癒されてるんだな。
「おっ!高嶺の花発見!」
石川くんは目敏く向こうでやはりランチを食べてる女性陣を見て嬉しそうに声を挙げた。
「やっぱ綺麗だな~宮川さん。先輩もそう思うでしょ?」
やはり営業部OL、入社二年目の宮川くんはモデル並の美貌で群を抜いている。男性社員の憧れの的だ。
「そうだな…石川くんなら口説けるんじゃないか?」
「無理っすよ~何度もアタックしたんですが玉砕しまくりです…」
「そうなのか?!」
「誰の誘いも断るんですから…やっぱ高嶺の花そのものですよ!」
高橋さんも憧れてる。そりゃ出来るものなら抱いてみたい。だが自分の入る隙は完全にないということは分かっているし、かなりの奥手だ。恥をかきたくないし、高橋さんは言った。
「しょせん、あんな美女は性格が最悪なんだ。さ、仕事に戻るぞ」
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