ケータイ恋愛小説家
――パタン……
部屋を見渡す。
乱れたシーツ……。
部屋中に充満したさっきの女の人の香り。
テーブルに置かれた二つのマグカップ。
口紅のついた吸殻。
そして今思えば……彼女は、これから出勤するには不釣合いな大きなボストンバッグを肩から提げていた。
お子様なあたしでもわかる。
蓮君とあの人が一晩ここで過ごしたこと……。
「……日向?」
ぼんやり突っ立っていたあたしに蓮君が声をかけた。
あたしは慌てて手にしていたCDをテーブルの上に置いた。
「これ、返しに来ただけだから」
そう言って、すぐに向きを変えて部屋を出ていこうとする。
だけど、その動きは蓮君によって止められた。
「きゃ……」
部屋を見渡す。
乱れたシーツ……。
部屋中に充満したさっきの女の人の香り。
テーブルに置かれた二つのマグカップ。
口紅のついた吸殻。
そして今思えば……彼女は、これから出勤するには不釣合いな大きなボストンバッグを肩から提げていた。
お子様なあたしでもわかる。
蓮君とあの人が一晩ここで過ごしたこと……。
「……日向?」
ぼんやり突っ立っていたあたしに蓮君が声をかけた。
あたしは慌てて手にしていたCDをテーブルの上に置いた。
「これ、返しに来ただけだから」
そう言って、すぐに向きを変えて部屋を出ていこうとする。
だけど、その動きは蓮君によって止められた。
「きゃ……」