リボンの指輪
「陽菜も、俺に惚れてんだろ?」




「嫌いになった。今、嫌いになった」




「じゃあ、どうしてそんなに泣きそうな顔、してんだよ」




頼は、全てを見透かしたかのように、あたしを真っ直ぐに見つめる。




「自信過剰なんじゃないの。かっこいいからって」




「かっこいいって思ってんだ」




頼が、にやっと笑う。




あたしが言いたいのは、そんなところじゃないし!




「好きだ、陽菜」




「あたしは別に……」




「好きだ」




あたしの最後の抵抗も、強い頼の声に、打ち消されてしまった。




もう、駄目だと思った。




これ以上、自分の気持ちに嘘をつきつづけるのは、辛かった。
< 154 / 276 >

この作品をシェア

pagetop