リボンの指輪
こうなったら、あたしだけでも話を聞くしかない。




このまま何もしないで帰るのだけは、絶対嫌だから。




「…いいけど」




ほらね。




結局、誰かを本気で嫌いな人なんて、いるわけがないんだ。




特に香織と琢磨くんなんて、昔は付き合っていたわけだし。




いくら“女遊び”人だとしても、嫌いな人と、付き合うわけがない。




「向こうの公園、行きましょう。ジュースおごります」




あたしは、香織をほぼ無理矢理引きずりながら、公園に向かって歩き出す。




香織の表情は、不安に歪んでいた。
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