秘密の片思い
愛は祐一郎の方を向いていたのに近づいてきた彼に気づかなかった。


彼の声で愛の動きはストップした。


「祐・・・・」

絶対に見られたくない所を見られてしまった。


愛は言葉が出ない。


「愛が嫌がっている その手を離してくれませんか?」

郁斗は愛の手首をまだつかんだまま祐一郎を鋭い眼差しを向けた。


サングラス越しなので祐一郎は郁斗の表情は読めなかったが、愛は郁斗が苛立っているのがわかった。


祐一郎に言われたのに少しも手の力を緩めていないからだ。


決してぎゅっと捕まれているわけではない。


愛が逃げないように捕まえているだけ。




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