ノンステップ・シュガー
「またサボり?」

隣にこしかけながらそう問いかけてみる。嫌がられることは承知だったけど、隣にすわっても新崎はなにも言わなかった。

「………サボりじゃねえよ。ひとやすみ」
「それをサボりって言うんじゃん」

入学式以来、ほとんど初めてに近い、新崎との会話。新崎はゆっくり話してくれて、案外おだやかな会話に私は安心する。

「………そういうあんたも」
「私は新崎のマネだよ」

そう言って笑ってみると、「変な奴」とからかわれた。新崎は笑わなかったけど、その声にさえドキドキして、愛おしくて。
隣に座る新崎との距離がもどかしい。こんなに勇気を出して話し掛けてみても、ちぢまりそうもない距離に、胸がくるしくなる。

「………」

もっと近くに行きたい。もっと、知ってみたい。
だれも知らない新崎の心に、触れてみたい。

私はいつしかそんなふうに思うようになっていたんだ。


そんなこと、思うべきじゃなかったのかもしれない。
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