きゃっちぼーる
「理由は簡単。他人が理解できないほどに」 

 恵に向かって言っているが、同時に、一哉は自分自身に対しても言っている気がした。

「悲しむ人の事を考えなかった?」

「自分に対する非難は幾らでも思いついた。安易に逃げてるだけって。生きたくても生きたい人がいるのにとか。みんな同じこと思ってるとか。でもね。苦しかったんだ。後悔はしていないよ。自分で決めたから。それで今に至る。素直に成仏する気にもなれなかったから、生きるはずだった世界をもうちょっと見ていたいと思っちゃったけれど」






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