いちえ

「そう…だったんだ。知らなかったよ……」



言葉が浮かばない。

何て言えばいい？

どう反応するべき？



「はは、言ってねーもん」



笑って言う瑠衣斗が、やっぱり見れない。





私…どうしたいんだろう。



頑張るって決めたのに。


慶兄と約束したのに。




「そ、そうだったんだ!!告白しないの？」


「ん？告白……したつもりだったんだけどなあ…気付いてないみてえ」


「……へえ…したんだ」



これ以上、聞けない。


胸が苦しくて息がうまくできない。



「やっぱさ、ハッキリ好きだって言わなきゃダメだったかな」


「…うん、だから気付いてないんじゃない？」



自分でも、声にハリがない事が分かる。


ここは誤魔化さなきゃ。


しっかりしなきゃ。



「そーゆうモン？やっぱ好きって言うのと言わないとじゃ違う？」


「……違いすぎでしょ」



何で私、るぅの恋の相談受けてるんだろ。


しかも、何かアドバイスしてるし。



「…まじか。だからなのか」


「…へ？何が……」


「いや…こっちの話」



そっか…何かいい感じなんじゃん。




もう、聞きたくない。やめてよ。